December 18


THE SANTA'S PRESENT for WINTER HOLIDAYS :Great Plains

「お休みジョージ。よい夢を」
「おやすみ、おばあちゃん」
 おやすみのキスをして、おばあちゃんはおへやのでんきをけした。
 いつもならすぐにねちゃうけど、きょうはねないんだ。
 ほんとうは、ちゃんとねてないとプレゼントをもらえないけど、ことしサンタさんにたのんだのはものじゃない。
 きっと、サンタさんはぼくのおねがいをかなえてくれるよね。だから、ちゃんとおきてなきゃ。
 かいちゅうでんとう、よし。ひゃっかじてん、よし。トイレはちゃんといったから、だいじょうぶ。
 これで、ばっちり。ぜったい、ねないんだ。ねないで、サンタさんがひいおじいちゃんをつれてきてくれるのをまつんだもん!
 ぜーったい、ねない、ん、だから……

 zzzzz zzzzz

 なんだかごそごそいうおとがして、ぱっとめをあける。
 いけないいけない、ねちゃってた。これじゃひいおじいちゃんにあえないよ。
「や、やあ、ジョージ」
 えっ!?
 こえのほうをみると、そこには一人のおじいさんがたってた。なんだかおおあわてでなにかをかくしたみたいだったけど、なんだろう?
「ひいおじいちゃん?」
「ああ、そうだとも。はじめまして、ジョージ」
 わあい! やったあ!
 ベッドからとびだして、ひいおじいちゃんにぴょんととびつく。ひいおじいちゃんはおおきなからだでぼくをうけとめてくれて、ぎゅっとだきしめてくれた。うわあ、からだ、つめたいなあ。おまけに、おひげにはゆきがくっついてる。
「ひいおじいちゃん、どうやってかえってきたの? サンタさんのそりにのせてもらった?」
「あ、ああ。そうじゃよ。サンタのそりはそれはもう高い空を飛ぶんじゃ。今夜は粉雪がしんしんと降っていて、それはもう素敵な眺めだった」
「いいなあ、ひいおじいちゃん。ぼくもサンタさんのそりにのってみたいよ」
「ふむ。そうじゃな。ジョージがうんと大きくなって、立派な髭になったなら、きっと乗せてもらえるだろうよ」
「えー、ひいおじいちゃんみたいなりっぱなおひげがないと、サンタさんのそりにはのれないの?」
「ああ、そうだとも。立派な髭がないと、トナカイどもに笑われてしまうんじゃよ――らしいぞ。そうサンタが言っとった」
 へえ、そうなんだ。でもおじいちゃんはりっぱなおひげだから、だいじょうぶだよね。
 はじめてみるひいおじいちゃんは、とてもやさしいめをしてる。ぼくのあたまをなでてくれるてはとってもあったかくって、とってもおっきい。
「ねえ、ひいおじいちゃん。いつも、どこへいってるの?」
 そうきくと、ひいおじいちゃんは、ものすごくこまったかおになった。
「そうじゃなあ。わしは、せかいじゅうにゆめをとどけるおしごとをしとるんだ。――わかるかい?」
「うーんと……はいたつやさん、ってこと?」
「ま、そんなもんじゃな。期間限定なんでな、いつもクリスマスには家を空けてしまって、みんなにも会えなくてすまんと思っとる」
「そうだよ。みんな、ひいおじいちゃんがいないからさびしがってるよ」
 とくにおばあちゃんは、いつも『おとうさんはいいとしになってもおちつかなくってこまるわ』っておこってるけど、ほんとうはだれよりもひいおじいちゃんをしんぱいしてるんだって。おかあさんがそうおしえてくれた。。
「でも、ことしはかえってきてくれたもんね! きっとあしたのあさになったら、みんなおどろくね!」
 そういうと、ひいおじいちゃんはすまなそうにあたまをふった。
「すまんな、ジョージ。わしはもう行かねばならんのだよ。仕事の途中で抜けてきてしまったんでな」
「ええー! そんなあ」
 おもわずおおきなこえをだしちゃったら、ひいおじいちゃんはあわててぼくのくちをふさいで、しーっとゆびをたてた。
「大きな声を出すと、お前の母さん達が起きてしまうぞ」
 いっけない。こんなじかんにおきてることがばれたら、たいへんだ。
「しかし、お前がわしに会いたいと手紙に書いてきたから、びっくりしたわい。サンタもそりゃあ驚いておったよ。こんな願いは初めてだってな」
 だって、どうしてもひいおじいちゃんにあいたかったんだもん。
「ぼくね、ひいおじいちゃんがどんなひとかなって、どきどきしてたんだ」
「そうかそうか。それで? どうだったね? 実物に会った感想は?」
「最高!」
 そうかそうか、とわらって、ひいおじいちゃんはぼくをぎゅっとだきしめてくれた。そして、ベッドにそっとおろしてくれて、そうだった、とあしもとのふくろをごそごそしはじめる。
「ジョージはサンタにプレゼントを願わなかったから、これはひいおじいちゃんからのクリスマスプレゼントだ」
 ほい、とわたされたのは、おおきなプレゼント。なんだろう、ちょっとおもいなあ。
「朝になったら開けてごらん。ああ、そうだ。みんなにも持ってきたから、明日渡しておくれ」
 おばあちゃんのぶん、おとうさんのぶん、おかあさんのぶん。いぬのナナのぶん。つぎつぎとふくろからとりだして、わたしてくれる。もちきれなくなってそれらをベッドにおくと、ひいおじいちゃんはさいごにぎゅっとだきしめてくれて、ほっぺにキスをしてくれた。
「それじゃあ、おやすみ。小さなジョージ」
「ひいおじいちゃん! またあいたいよ!」
 ふくろをしょってあるきだそうとするせなかにそういうと、ひいおじいちゃんはふりかえって、それじゃあ、とウインクをした。
「お前さんがもう少し大きくなって、一人でここへ遊びに来られるようになるまで……それまでは毎年、クリスマスの夜に会いに来よう。その代わり、みんなにはナイショだぞ? ジョージとひいおじいちゃんだけの秘密だ。約束できるかな?」
「うん! やくそくするよ! おとことおとこのやくそくだね」
"Cross my heart and hope to die."
 きんじょのおにいちゃんにおしえてもらったことばをいうと、ひいおじいちゃんはおもしろそうにわらった。
「よしよし。じゃあ約束だ。来年のクリスマスにまた会おう!」
 そういって、ひいおじいちゃんはまどをあける。すると、まどのそとからできれいなすずのおとがした。
 9とうのトナカイがひくソリにひょいととびのって、ひいおじいちゃんはではな、とてをふる。
”Merry Christmas! Ho ho ho!!"
 わらいごえとともに、よぞらをかけるそり。
 シャンシャンと、すずのおとがなりひびく。
 そうして、あっというまにそらへときえていったソリをながめながら、ぼくはあしたのあさ、みんなになんていってプレゼントをわたせばいいのか、しんけんにかんがえていた。

Story by seeds



 「16日」の続きです。小さなジョージ、とひいおじいちゃんが呼んでいるのは、このひいおじいちゃんも「George」だからです。自分は英国風に呼ばれることを断固嫌っていたようですが、曾孫の名前は嬉々として呼んでそうです(笑)
 ひらがなばっかりで読みにくいですが、何卒ご勘弁くださいm(__)m
"Cross my heart and hope to die."は日本で言う、「ゆびきりげんまん」のような言い回しだそうです。

お題:「雪」「サンタクロース」「贈り物」

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